漢方医学

漢方医学とは

漢方医学のイメージ画像

漢方医学とは中国から日本に伝えられ国内で発展した伝統医学です。狭義の漢方医学としては、漢方薬を用いた薬物療法です。漢方薬は、生薬と呼ばれる植物や動物、鉱物などの天然物を配合した薬剤で、個人の体質や症状に合わせて処方されます。広義の漢方医学としては、薬物療法の他、鍼灸、按摩、整体、食養などを含みます。鍼灸とは、体の特定の部位に鍼や灸を用いて刺激することで、気血の流れを調整し病気を治す方法です。按摩とは、手や指で体を揉んだり押したりすることで、筋肉や関節の痛みやこりをほぐす方法です。整体とは、骨格や筋肉のバランスを整えることで姿勢や歩き方などを改善する方法です。食養とは、食事や飲み物を適切に選ぶことで体の調子を整える方法です。これらの方法は西洋医学と異なり、人間を一つのまとまったものとして捉え、全体的なバランスを重視する考え方に基づいています。

漢方医学の魅力について

当院で考える漢方医学の魅力は以下となります。

  1. 現代薬と比べて副作用が少ない(※漢方特有の副作用はあります)
  2. 現代医学的に診断がつかなくても治療を行える
  3. 身体に優しいアプローチ
    ①身体のバランスを整えるアプローチ
    • 判断指標:寒熱と虚実
    • 補剤(免疫力・消化機能・意欲を高める)
    ②体質にあわせたアプローチ
    • 人体を五臓と気血水のネットワークと捉える
    • 体質改善

漢方理論の基本について

漢方理論については、【陰陽五行説いんようごぎょうせつ】【気・血・水】【寒熱・虚実】【五臓】の基本項目があります。

陰陽五行説いんようごぎょうせつ

陰陽五行説は中国の古代哲学思想で陰陽説と五行説からなる2つの理論です。陰陽説とは万物は陰と陽という対立する二つの原理によって成り立ち、その相互作用によって変化するという考え方です。例えば、日と夜、男と女、上と下、水と火などが陰陽の対になります。五行説とは、万物は木・火・土・金・水の五つの元素に分類され、相互の関係や全体の中での個々の性格を把握することができるという思想です。
漢方医学では、陰陽のバランスの取れている状態を健康と考え,全ての病は陰陽の偏りから生じると考えます。病気を「健康な状態からの偏り」と考え、その偏りを戻すことを治療として考えていきます。健康な状態からの偏りを判断するために病性の判断指標として「虚実と寒熱」の概念があります。
五行説について漢方医学では、生体を肝・心・脾・肺・腎という5つの機能的構成要素に分割して理解し、この5つの構成要素を「五臓」と呼びます。

  • 陰陽
  • 陰陽五行説
陰陽説の表
空間 時間 季節 性別 温度 軽重 明暗
春・夏 熱・暖 軽い 明るい
秋・冬 寒・涼 重い 暗い
五行の例
季節 方角 感情 家畜
土用 中央
西
  • 相生・・五行のある一つが別の一つに対して促進的に働くこと
  • 相克・・五行のある一つが別の一つに対して抑制的に働くこと
  • 相生・・五行のある一つが別の一つに対して促進的に働くこと
  • 相克・・五行のある一つが別の一つに対して抑制的に働くこと

気・血・水

漢方医学では気・血・水の3つを人体が生命活動を行うのに必要な3大基本物質と考えます。

  • 「気」:生命を生命たらしめる物質(身体・精神の活動を活発にさせる仮想的エネルギー)
  • 「血」:血液(血脈をめぐり全身に栄養を運ぶ赤い液体)
  • 「水」:血液以外の体液

陰陽説との関わりとしては、健康な状態からの偏りを病と捉えますので、気・血・水のバランスの崩れた状態が病となります。五行説との関わりとしては、気・血・水を五臓がコントロールしており、五臓それぞれの生理的機能は気・血・水を通じて発現されます。

寒熱・虚実

寒熱

寒熱とは、病態の性質を表すもので、自然界の寒冷現象に似た病態を「寒証」、温熱現象に似たものを「熱証」といいます。これらは温性の治療を行うべきか、涼性の治療を行うべきかの判断指標となります。
寒熱に基づいて治療を行うことは漢方の治療原則の一つであり、「寒なるはこれを熱し、温なるはこれをせいす」と言います。

寒証 熱証
遅脈(遅い脈) 数脈(速い脈)
舌苔 淡白
体感温度 寒気を感じる ほてりを感じる
手足 冷えがある ほてりがある
飲み物 暖かいものを好む 冷たいものを好む
顔色 青白い 赤い
唇の色 青白い 赤い
尿の色 白っぽい 黄色い
毛髪 湿っている 乾燥している
潤んだ涙目 赤く充血
鼻水 水様 粘稠
喀痰 色が薄く低粘性 黄色で粘稠
乾かない 乾く
食欲 不振 旺盛
便 下痢気味 便秘気味
睡眠 長い 短い
精神状態 物静か 興奮気味

虚実

漢方医学の治療法は「補法」と「瀉法しゃほう」に分かれます。
「補法」とは、体内の不足した要素を補う治療法であり、具体的に言えば、「気や血や水の作用不足を改善する治療法」です。
「瀉法」とは、体内の余分な要素を削り取る治療法であり、①汗法かんほう解表法げひょうほう :発汗させる方法)、②吐法とほう(催吐法)、③下法げほう瀉下法しゃげほう )、④温法(補陽法)、⑤消法しょうほう理気法りきほう活血法かっけつほう 利水法りすいほう化痰法けたんほう消導法しょうどうほう )からなります。

「虚実」とは、補法を用いるべきか,瀉法を用いるべきかの判断指標です。
虚実に基づいて治療を行うことは漢方の治療原則の一つであり、「虚すればすなわちこれを補い、実すればすなわちこれを瀉す」と言います。
気または血の作用不足を改善する生薬を中心に構成された漢方薬を「補剤」と呼んでおり、免疫力・消化機能・意欲を高める効果があり、大手術など侵襲性の高い現代医学的治療に伴う体力低下に対しても用いられます。

「虚証」とは、補法を主体とすべき病態(気や血や水の作用が不足した病態)であり、「気虚」「血虚」「陰虚」「陽虚」の4種類に分かれます。
「実証」とは、瀉法を主体とすべき病態であり、①感染症、②虚証によらない熱証、③冷えを伴わない便秘などが相当します。

五臓

人体の機能を5つに分類した機能的構成単位であり、肝・心・脾・肺・腎の5つからなります。解剖学的な臓器とは異なっており、たとえば、肝=肝臓ではありません。
五臓を現代医学的に解釈すると、肝は末梢循環と筋に相当し、心は循環器系、脾は消化器系、肺は呼吸器系(下気道だけでなく上気道も含む)、腎は腎泌尿器系に相当します。
同時に五臓は共同して脳機能を担っており、肝は情動、心は理性、脾は意欲を司ります。
このため、肝の失調で怒りを生じ、心の失調で焦燥、脾の失調で不安・意欲低下を生じます。
腎は腎泌尿器系以外に特殊な役割を担っており、先天的に与えられ老化とともに衰えるもの(生殖器、耳、髪など)を司ります。
さらに、腎は腎陽と腎陰という2つの構成単位に分かれ、腎陽は体温を維持する機能、腎陰は体液を保持する機能を担います。

診療内容
脳神経内科 漢方内科 内科 心療内科
院長
松尾 皇
住所
三重県伊勢市小俣町明野1102番地6
TEL
0596-72-8858
アクセス
近鉄山田線「明野」駅 徒歩6分
【特記事項】:一般診療 :往診優先
【休診日】木曜・日曜・祝日
診療時間
(初診受付時間)
日祝
9:00~12:00
14:30〜17:00
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